特別セッション

■特別セッションⅠ「インフラを支える樹脂技術 ~易施工・品質保証~」
 宮地修平(積水化学),西村寛之(京都工繊大)

 高度成長期に整備された我が国のインフラは,現在更新,補修の時期を迎えています.昨今では笹子トンネルのような重大な事故が発生し,インフラの老朽化対策が急務となっています.一方で,維持管理の修繕費の増加や,作業者数の減少の背景の中で,いかに効率的に対策を実施するかが重要となっています.その中で,樹脂製品については,易施工化や品質確保の面から期待が高まってきている状況にあります.
 本セッションでは,インフラ,ライフラインや,エネルギーに関わる成形技術について管理者,メーカー,学術者等の様々な立場での幅広い議論をする場を提供します.


■特別セッションⅡ「未来を守る難燃・不燃材料」
 大越雅之(京都工繊大),宮野信孝(大八化学),野寺明夫(PSジャパン)

 難燃・不燃化とは,日本の死亡原因第2位である火災から人間を守るため,家財や装置などを燃え難くすることにより,着火してしまった「財」そのものの延焼を遅延させるとともに,他財への「もらい火」を防止することを目的としています.特に樹脂材料は,可燃性と熱溶融のため火災面積を拡大させることから,高度な難燃材料を開発することにより,火災の危険性を減少させる社会的意義の大きい研究であります.
 本セッションでは,難燃・不燃材料に関する最新研究動向を発表・議論する場を提供します.


■特別セッションⅢ「食品包装用高分子材料及びその加工に関わる最新技術」
 澁谷光夫(日本合成化学),徳満勝久(滋賀県大)

 現在の包装材料は,高分子が主要な材料となっており,その形態は「フィルム包装」,「シート成形容器」,「射出成形容器」,「ブロー成形容器」など多種多様なものがあります.包装材料には,その使用目的に応じてガスバリア性,透明性,防湿性等の多くの機能と延伸性,深絞り成形性等の加工特性が要求されます.また,昨今では廃棄される際の3R (リデュース,リユース,リサイクル)を基本とする包装設計も重要な課題となっています.
 本セッションでは,食品包装に関わる高分子材料とその成形加工に関わる最新の技術について深く議論する場を提供したいと考えております.


■特別セッションⅣ「材料開発を支える可視化技術」
 荘所大策(KRI),本間秀和(KRI),和田しのぶ(住化分析セ),正木辰典(ユニチカ)

 高機能繊維(カーボンファイバー,カーボンナノチューブ,セルロースナノファイバーなど)を利用した先端複合材料,界面制御やプロセス技術を駆使したナノアロイ材料をはじめ,所望の特性を有する材料を開発するうえで,ナノレベルからマクロなレベルまでの構造制御が重要視されています.このような中,これらの開発を支えるための可視化技術の開発が盛んに行われています.
 本セッションでは,これら可視化技術および可視化技術を利用した材料開発に関する現状と今後の展望について議論する場を提供します.


■特別セッションⅤ「アスリートを支える最先端材料・技術」
 原野健一(アシックス),長谷朝博(兵庫工技セ),立石純一郎(アシックス)

 2020年,夏季オリンピックが東京で開催されます.アスリートは,自己記録の更新に向け,肉体的にも精神的にも極限まで鍛錬を行っています.それらアスリートの身体能力を最大限に発揮し,勝利に少しでも貢献できるよう,スポーツギアには,最先端の技術が導入されています.さらに,東京オリンピックでは遮熱対策が大きな課題となっています.遮熱対策はもちろんの事,その要因である地球温暖化に歯止めをかけるため,スポーツ業界においてもサスティナブル技術に関する研究が進められています.最近の研究では,単に地球温暖化対策としてだけではなく,スポーツギアとしての高機能化も求められています.
 本セッションでは,アスリートを支える用具に関わる最先端の材料や成形加工技術について深く議論する場を提供します.


■特別セッションⅥ「長もちの科学 ~プラスチック材料の長期耐久性・劣化~」
 山田和志(京都工繊大),辻井哲也(ダイキョーニシカワ),東川芳晃(京都工繊大),細田覚(京都工繊大),堀田透(京都工繊大)

 現在,身の周りの生活用品や家財,装置をはじめとしてインフラ設備や交通,航空・宇外場の影響による劣化過程を詳細に検討することはプラスチック製品を長く快適に使っていく上で重要であります.
 本セッションではこれら高分子の長期耐久性評価および劣化評価に関する最新の技術や材料,評価方法について発表・議論する場を提供します.